滝畑の伝説
河内長野市教育委員会の出版物より

女塚

　キタダニの谷にな、オンナヅカがあるな。キトラヤマとこにな。あれ、女塚ちゅうな。ちょうど岩湧山の隣やな。
戦国時代にな、戦争に負けた人達がやって来たけど、そこで女の人が自害したんやて。そこをオンナヅカゆうようになったんやって。
その女の人は身分の高い人やったんやってな。
横谷に、オンナヅカちゅうとこあるな。加賀田へ越すとこにな。

女塚
　
　あの女塚ちゅう話はな、戦国時代に戦争に負けた武将のお姫さんとか女の人が５人とか７人とかが追われて来てな、そこで自害したとこやてゆうんや。
女塚はな一人で通るときしょく悪いでエー。２，３人で通った。
女塚には丸こい石が二つ三つあるんや。あこからなちょっと行ったらな岩湧山のお寺やわ。

カンノクラ　
　
　カンノクラゆうところがあってな、そこに大塔の宮が菊の紋の旗を隠したゆうけど、それは滝尻から横谷にいくところに、切り立った岩があるんですね。
あれ、穴あったねｴ。あれどこやら行ったらな、権現堂のあったところに行った。
穴見えたなｱ。
権現堂どこにあんかと思うてな、探しに行ったんや。ほたらな、下の藪にあったな。
ふん。
あのやぶのへんやったかと思うて見とったら、、なあにも跡見えんしな、あれからちょっと上がったとこに、五輪塔がどっさりあるね。
ふん。
五輪塔がな、なんば、二十基ばかりあったかねｴ。へで永禄頃の五輪塔があったね。そっから向かい側見たらあのカンノクラってゆうのんの、穴が見えてんのや。
そうしたら、今の横谷に行く道路の左側になるわけやね。
そや、そこに切り立った岩ｱあってな、その真ん中ほどにこんくらいの穴開いてんねや。それ、どんくらい深い穴か知らんのやけどね。
ふんふん。
そこにな、大塔の宮が菊の紋の旗たてた話聞いたんや。ほで、そこでな、金の鶏が鳴いたいうねんや。なんやしらんけど昔の人はな、そこで金の鶏が鳴いたとゆうたなｱ。
うん、そういうことあったな。

権現堂

　その権現堂ってな、おばあさんがおったらな、そこい行者がやって来て、なんやらくれという話をしたからね。けどなにもやるもんなかったんであのー、あすこに釣鐘があるからあれやるからちゅうたら、そしたらシャクジョウの先にこう結わえつけて、その山をパッパッと上がって行ったゆうんです。
そんな話を聞きましたねｴ。その行者が釣鐘を担いでいんでしもうたゆう話やな。それ、その鐘が大峰にあんやとかちゅう話や。

菊の紋

　光滝寺を創建したんは、護良親王やとゆわれて、今でも光滝寺の門に菊の紋がありますね。

ワカシヤマ

　昔な、ワカシ（若集）センゴクタニの奥におったジャ（蛇）退治したんでお礼に山ア貰ろて、ほんでワカシヤマ（若集山）てゆうてやていいましたね。
その大蛇の頭が光滝寺にありましたんけど、今はもうありませんねわ。
キタダニ、タイラ、マエムスビという性は平家の落人というたな。

蔵王峠
　
　蔵王峠にジャオ（蛇尾）ゆうもんがおって、それ捕まえて光滝寺に置いてあったけど、今はありませんな。
ほんで蔵王峠のことをジャオトウゲ（蛇尾峠）というてきたんや。滝畑から蔵王峠を通る高野道やったんや。酒も買いにいったしな。

滝尻

　滝尻というのは権現滝あるさかいいうんや。
権現滝の尻やったさかいな。
横谷ちゅうのも、こらアな、あっちがホンタニ（本谷）やさかいな、こっちが本谷の横やから横谷ちゅうんや。
地名というんはそんなもんや。

シオフリ峠

　あこ、シオフリ峠ゆうんはな、あこの峠はな、塩を買うて、その塩をセタロウ（背負っ）てぶらんぶらんと来たさかいにシオフリ峠ゆたんやて、へへへへ・・・・・・。昔や、そんなんやったんやて。
ふん、昔な、塩買うてセタロウて、きたんやて。
みんなな、あっちからもこっちからもな、買うてな。
確かにな、昔はな、魚やとか塩は、みな和泉から買うてましたんや。
昔はな、二十五日の市にはな、滝の畑から行く人、多かったんやデｴ。
そやそや、みんな紀州へ買い物に行ったな。
わしら子供の時分はな、みなシンケ市に買い物にいったな。
そやな、奥はみな行ったな。
ミョウジ（妙寺）のな、シンケ市へな。
酒かて買いに行ったな。
けどな、岸和田からもサキやんちゅうてな、魚やなんか持って売りに来たもんやな。なんでも新しいもの持って来たもんやな。
岸和田からはな、サキやんともう一人来たな、あれ、ニャンコさんゆうたな。
あの人、おもしろいことあったんやて。あこな、峠んとこに大きな松の木ｲあったんやてｴ。見たら魚屋、大きな荷物セッタロウて来たんやてｴ。ほでな、○○さんやたら誰やったらがな、そん松の木登って木ｲゆすったんやってｴ、カマキュウやゆうてな、へへへへへへ・・・・・・・・。
はははは・・・・・・、子供の頃のことはよう覚えてるわな。
カマキュウーゆうてな。ははは・・・・・・・。